もふもふな聖獣に反対されても、王子は諦めてくれません

「マリーは懸命に助けてくれたね。当時まだ魔法も覚えたてだったんだろう。ものすごい魔力に即座に怪我は治ったが、底知れぬものを感じた」

 んん? 雲行きが怪しくない?
 だから動物がマリーを避けるんだよ。という説明がしたかっただけ?

「そして気付いたときには、首元に噛み付いて番の(ちぎ)りを交わしていた」

「はい? 違いますよね? 底知れぬ魔力を前に恐怖に慄いて反撃しようとしたら、間違えて首に噛みついちゃったというオチでは?」

 話の流れ的にそうだと断定的に言うと、エリックは明らかに目を泳がせ「そうではなかったと思うがな」と、言ってのける。

「まあ、どういう経緯にしろ、番の契りを結んだのだ。俺の妻になってもらう」

「つ、妻ー⁉︎」

 声を裏返そうと、エリックは微笑みを崩さない。

「番の契約を結んでいると聖獣の加護が受けられる。におい付けされていると言えばいいのか。つまり勘のいい動物たちは自分より力のある者の所有物だとわかり、恐れをなして寄ってこない」

 マリーが動物に避けられる理由に話が及び、腑に落ちなかった点が解明されたのに、心は晴れない。

「ちょっと待ってください。次は人を所有物扱いですか?」

「これは失礼。言葉のあやというものだ」

 悪びれもせず、形だけ謝罪されても納得できない。
< 59 / 170 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop