もふもふな聖獣に反対されても、王子は諦めてくれません
「驚かせたと言うと、マリーが悪いみたいだ。噛み付いた俺をもっと責めればいい」
「それは……今さら責めても仕方がありませんし、責任を取って嫁にもらってやるって、エリック様なら言い兼ねないので」
マリーの意見を聞き、エリックは体を起こしてまで笑う。笑われたのはいい気分ではないけれど、もたれかかっていた体が離れたことにホッと息をつく。
「それはいい提案だ。そうしよう」
「そうではなくてですね! だいたい番の契りって私は了承していなかったのですから、無効ですよね?」
正論を訴えたマリーに対し、王子は首を横に振る。
「昔は勝手に契りを結ばれないように、年頃の娘は首から肩に掛けて金属製の装飾品を付ける習慣があったくらいだ。そもそも強くなければ、噛み付く前に男の方が女に張り倒されるだろう?」
エリックが大柄の女性に巴投げされているところを想像して、吹き出しそうになる。
ただ、今の魔力を持たない王子でも一筋縄でいきそうにないのだから、簡単に倒されてくれそうにない。
「強ければいいだなんて、なんだか女性を軽視しています」
「まあ、今日の契りはその形を取っていないがな」
「それなら!」
古臭いカビの生えた言い伝えなら、反故にできるのでは⁉︎