もふもふな聖獣に反対されても、王子は諦めてくれません
一筋の希望の光が差した気がして、語尾が跳ね上がる。それなのに王子は無情にも告げる。
「古い方法でも契約は契約だ。取り消すためには、契りを結んだ者が特別な解除魔法をかけなければならない」
「解除、魔法……」
「ああ、どちらにせよ。俺に魔力が戻らなければ、契りはこのままだ」
「そんな……」
「魔力が戻るのなら苦労しない」
解く気あるんですか?
とは、さすがに言えない。魔力を失って辛いのは彼自身だ。
どう声をかければいいのか黙っていると、エリックの方から質問される。
「動物に触れられないのは、そんなに困るのか?」
「それはもう‼︎」
王子の嫁だなんてまず考えられないのは大前提として、その上動物に触れ合えないのが契約上王子の番になっているせいだとしたら、困るってもんじゃない。
力強く訴える隣で顎をさすりながら思案顔のエリックは、到底理解できない言葉を発する。
「聖獣の加護を恐れ、近づいてこないのは所詮下等な動物だ。問題ないのでは?」
問題ない?
近づいてこないのは所詮下等な動物?
王子の言葉を頭の中で反芻したマリーはワナワナと体を震えさせる。