もふもふな聖獣に反対されても、王子は諦めてくれません
そこへノックの音がして、「殿下」とイーサンらしき人の呼び声が聞こえた。
「時間切れか」とエリックはため息混じりに立ち上がり、扉へと向かって行く。その途中、王子は立ち止まると振り返って言う。
「今夜、ここで共に食事をとらないか?」
「ここで?」
思わずカーティスに視線を移すと、フィッと顔を背けられた。
「私、今晩はケイト……同じ聖獣の世話係をしている人に自宅に招かれていまして」
『休みをもらっても予定がないなあ』と呟いたマリーに『それならうちにおいで』と誘ってくれた。ケイトの仕事が終わった頃に、聖獣の部屋で落ち合う約束をしている。
「そうか。それは残念だ」
それだけ言って王子は出て行った。
今一度閉まった扉を見つめ、ひとりごちる。
「文句、言いそびれちゃったなあ」
自分で言っておいて、笑ってしまう。
冷酷な第三王子に文句だなんて。どれだけ偉くなったのよ、私。
なんだか虚しくなり、癒しを求めてカーティスに伸ばした手は、ひらりと躱される。
「もう! 少しくらい抱き締めさせてくれたっていいじゃないっ」
膨れっ面をしても、カーティスは素知らぬ顔で昼寝を決め込むのだった。