もふもふな聖獣に反対されても、王子は諦めてくれません
不満なんて恐れ多いわ。
ただ、番だの、嫁だの、妻だの、あれはなんだったわけ?
どこにぶつけていいのかわからない苛立ちにプリプリしながら、聖獣の部屋の扉を開ける。
勢いよく開け放たれた扉の向こうで、一斉に白いもふもふが顔を上げたかと思ったら、目をキラキラさせてマリーに駆け寄ってきた。中には急ぎ過ぎて躓いてしまう子も。
「待って。慌てないで。ふはっ。くすぐったい」
クスクス笑うとイライラも吹き飛んでいく。
ああ。やっぱり私、動物と触れ合っていたい。
「相変わらずね。それで倒れないんだから、マリーはすごいわ」
ケイトは感心顔で立っている。
「見ていないで助けてください」
幸せではあるものの、さすがに揉みくちゃにされて恥ずかしい。
「やーよ。せっかく回復したのに、また明日倒れるだなんて嫌だもの」
魔力が枯渇すると、一様に顔色が悪くなり辛そうだった。
治療士全員に回復魔法をかけて回ろうかと真剣に思ったほどだけれど、みんなは『マリーまで倒れたら世話係の威信に関わるから』と取り合ってくれなかった。
みんな、魔法の技術も魔力だって、田舎にいた幼馴染たちとは比べ物にならない。それなのに、"やわ"だとマリーは思った。