もふもふな聖獣に反対されても、王子は諦めてくれません
「どうしたの? 急におとなしくなって」
「少し、緊張してしまって」
深く考えていなかった。王都の、しかも城付きの治療士は並の家柄ではないはずだ。
「あの、ふたりに話しておかなきゃいけないことがあります」
孤児院出身だと初めて話すときは、いつも気持ちが重くなる。今までも、打ち明けた途端に態度が変わる友人や同僚を何人も見てきた。
そういえば啖呵を切るみたいに出生を明かしたのって、エリック王子が初めてかも。
しかも「孤児院育ちが、なんの意味を持つ?」って、相手にもされなくて。
「こらこら。緊張するのか、ニヤニヤするのか、どちらかにしなさい」
ケイトは腰に手を当てて口の端を上げ、シャリオは笑いを堪えている。
「ご、ごめんなさい。ニヤニヤはしていないと思うのですが……」
ゴクリと唾を飲み込んで、ひと思いに告げる。
「私、孤児院の出身で」
目をギュッとつぶり打ち明けると、なにも返事がない。そろりと目を開けてみると、ふたりは顔を見合わせている。