もふもふな聖獣に反対されても、王子は諦めてくれません

「あの……」

 おずおずと声をかけると、あっけらかんと言われる。

「なんだ。そんなこと?」

「そんな、こと?」

「だって、思い詰めて『話しておかなきゃ』って言うもんだから、昨日ひとりきりで働かされて嫌になったのかと思った」

 シャリオは自身の頭の上に腕を回し、伸びをしながら「やれやれ」とため息を吐く。

「え? どうしてため息⁉︎」

「心配させられたから!」

 ケイトからはお尻を軽くトンと当てられ、心許(こころもと)ないマリーはよろめいてふらつく。

「ちょっと。か弱いフリはやめてよね。昨日、ひとりで五匹の聖獣の世話をしたパワフルさはどこに行ったのよ」

「いや、だって……」

「辞めさせていただきます!って言いそうな顔してたよ」

「そんなわけ! だって、私、もふもふできなかったら、生き甲斐がなくなっちゃう」

 思い詰めたように言うと、シャリオに今度は吹き出された。

「大袈裟だな。マリーが心配するような問題はなにもないよ。逆にどこかの伯爵令嬢だの、公爵令息だのってなると派閥があって面倒だから助かるって、世話係の取りまとめが言ってた」

 世界の違いに眩暈がしそうだ。
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