もふもふな聖獣に反対されても、王子は諦めてくれません

「それが噂の強大な魔力の女性? ご丁寧に首輪付きとは恐れ入ったよ」

 首輪?

 マリーは思わず鎖骨辺りに手をやるが、首輪はおろか、ネックレスさえもしていない。

「お前には関係ない」

 エリック王子の氷のように冷たい返答が、ワイアットとの相容れない関係を物語っている。

「そうかな? 有能で優秀な第三王子のエリック様がご執心の女とあれば、興味が出るのは普通じゃないか?」

 マリーを庇うように盾となっている王子が、静かに殺気立っているのが空気で伝わってくる。近くにいるだけで、ピリピリとしたなにかを感じる。

 エリックに触れながら治療したときと同じ、痺れに似たなにか。

「お前と話しているほど俺は暇じゃない」

 そう言って、エリックはマリーの肩を抱え歩き出す。

 ことの成り行きを見守っていたマリーは、息を飲んだ。

 殺気立っているところ申し訳ないのですが、私はびっくりして総毛立っています‼︎

 ナチュラルな至近距離に、場違いにあたふたする。

 どうにかエリックの歩くスピードについていく……というよりも、肩ごと強引に連れられて、ほとんど宙に浮かんで進んでいった。
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