もふもふな聖獣に反対されても、王子は諦めてくれません

 ワイアットからかなり離れたところまで進むと、見知らぬ部屋の扉が開けられマリーから先に入れられる。扉を背にしたエリックは、長いため息を吐いた。

「あいつは昔から妙に鼻が効く。俺の変調も気付いている数少ない人物だ。吹聴はしないが、気を許せる相手でもない」

 改めて王子と向かい合い、エリックの体調が(かんば)しくないと知る。それはそうだ。エリック王子とカーティスは表裏一体なのだから。

「彼が、厄介な相手?」

 エリックの殺気立った様子と、今のただならぬ体の不調。ワイアットと呼ばれた男性が原因だろうと、容易に予想がついた。

「ん? ああ、昨日少し話したか。そうだな。奴も含めて、厄介だ」

 婚約者候補の方々は? という質問が口をついて出そうになって、私には関係ない話だわ。と思い留まる。

「俺への敵意は魔力が強いほど、直接体に作用する」

 ガクリと膝を落とし、よろめくエリックを慌てて支える。
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