もふもふな聖獣に反対されても、王子は諦めてくれません
「まずいな。ここまでか……。俺はいい。カーティスを頼む」
切れ切れの言葉を残し、エリックは意識を失ってしまった。大人の男性に倒れ込まれ、マリーは支え切れず一緒によろめいてしまう。
押し倒されるような形で近くのソファにエリック共々なだれ込み、あらぬ体勢になってしまったが、ロマンスを感じている余裕はなかった。
肌に触れているエリックの体は、みるみるうちに冷たくなっていく。
「え? 嫌っ。待って。エリック様?」
声は掠れ、鼻の奥が勝手にツンとする。どうにか王子の体に手をかざし、力を込める。
「ヒーリング」
淡い光は、たちまち目も眩むほどの光へと変わる。それでもエリックは目を開けることはない。
「ヤダ。嫌です。どうしてっ⁉︎ 体調不良ならいくらでも治せるのにっ!」
瀕死の戦獣を何頭も救って来た。強い魔力を持つマリー。それでも死者を蘇らせることはできない。
「大きな怪我したって、重篤な病気になったっていい。お願いだから、戻ってきて……」
王子の胸を叩きながら、頬に涙が伝う。冷たい体は非力なマリーに叩かれて、僅かに揺れる。