もふもふな聖獣に反対されても、王子は諦めてくれません
「まだ指先がピリピリしているよ。加減は加減でも、手加減がほしかったかな」
魔力最大限のフルパワーで回復魔法をかけた。荒治療だと言われれば、そうだっただろう。けれど、それはどうしても助けたかったからで。
「本当に、ご無事で。良かったです。もう死んじゃったのかと……」
「縁起でもないな。しかし説明せずに悪かった。極限まで体調が崩れると、強制的にカーティスの体に魂が取り込まれるんだ。魂の抜けた俺の体は一時的に仮死状態になる」
「仮死……ですか。なんだ。良かった。本当に」
ホッとしたせいで、涙腺が緩む。意思とは関係なく、頬をハラハラと涙が伝う。
「マリー」
「ご、ごめんなさい。驚いて。あんなに普通に話していたのに、腕の中で冷たくなっていくから……」
そっと頬に指先が触れ、眉尻を下げるエリックが涙を拭う。その切なげな表情は、胸を締め付けた。
「悪かったよ。俺も、マリーに倒れられると気が気じゃない。あまり無理してくれるな」
涙に濡れる顔で必死に笑みを作る。
「はい。エリック様が素直に治療させてくださるのでしたら」
あんなにも辛くなるまで、頼ってくれなかった。普段からカーティスだけではなく、エリックも回復させていればとどれだけ後悔したか。
もう二度と、あんな思いは嫌だ。