もふもふな聖獣に反対されても、王子は諦めてくれません

「冗談で、『オレガの実を齧ったらピリリと辛くてスッキリするかもよ』って言ったら、その通りになっちゃって。こっちが驚いたわ」

「すごい! それが本当ならこれからは聖獣の世話に長いブラシは必要なくなります!」

「ええ。マリーの念願だった顔も埋め放題よ」

 それはこの前、こっそり思う存分やらせてもらいました。というのは内緒にしておく。

「今、みんながオレガの実を食べて、検証中なの」

 明るいニュースを聞き、心が躍る。

 検証結果は明日教えてもらうお願いをして、ウキウキ気分で食も進んだ。

 カーティスのところに戻るとイーサンもいたのだが、気にならないくらい心は軽やかだった。

 しかしふたりが渋い顔つきをしていると気付き、嬉しい報告は後回しにしようと決める。

 そしてエリックが重い口を開いた。

「マリー。しっかり食べてきたか?」

「今、その確認必要ですか?」

 なにか重大な話?と身構えたのに、ふたりで『マリーの食い意地が……』という話題であんな顔をしていたと思うと居た堪れない。
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