5歳の聖女は役立たずですか?~いいえ、過保護な冒険者様と最強チートで平和に無双しています!
 一夜明け、私は早起きをして居間の掃除に取りかかった。フレディさんは奥の部屋で寝ているようだ。フレディさんが起きていると、居間にずっといるからなかなか好きに掃除ができなかったんだよね……。
 散らばった衣服を回収し、洗濯機に投げ込む。この世界にも洗濯機や冷蔵庫はきちんと存在していて助かった。
 雑誌や新聞はまとめて、埃を払った本棚に並べていく。洗わずに放置されていた食器を綺麗に洗いながら、朝ごはんを何にするか考える。というか、フレディさんって結構ズボラ?

 冷蔵庫の中を勝手に覗くと、中には卵と数切れ残ったベーコンと飲み物しかなかった。いったい、普段どんな食生活をしているのか心配になる。
 食パンが余っていたので、その上に卵とベーコンを乗せる。
 火にかけようと思ったが、コンロに届かず小さな椅子の上に乗っての作業となった。手も小さいから、なかなか難しい。苦戦しながらも簡単な朝食の出来上がりだ。
「フレディさん、ご飯できましたよー!」
 冷めないうちにと思い、寝室のドアをノックして叫ぶ。
「……メイ、おはよう。早起きなんだな。ところでご飯って――え、えぇっ!?」
 寝ぼけながら部屋から出てきたフレディさんだったが、変わり果てた居間を見てすっかり目を覚ましたようだ。
「き、綺麗に片付いてる……」
「この方が気分もすっきりするかなと思いましたので!」
「それにこの朝ごはん、メイが作ったのか?」
「はい!材料がなかったので、簡単なものですけど……召し上がってください!」
 言われるがまま、椅子に座りパンをひとくち食べると、フレディさんは言う。
「美味しい。……すごいな。君、本当に七歳か?」
 なんとも答えにくい質問に、私はただ幼い無邪気な笑顔を返した。
 話を聞けば、フレディさんは家事全般が苦手らしい。昔から、母親にもよく怒られていたとか。
 幸い私は家事が不得意ではないので、家に置いてもらう代わりに家事を担当することにした。フレディさんは自分がやると言っていたが……期待はしないでおこう。
< 12 / 41 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop