男装即バレ従者、赤ちゃんを産んだらカタブツ皇帝の溺愛が止まりません!
「おや、お珍しい。こんなところで日向ぼっこですか?」
 そんな中で掛けられた声に、私は大仰なほど肩を跳ねさせて振り返った。そうして視界に予想外の人物を認め、私は二重に驚いた。
「これは、ゼネダ様!」
 なんと、後ろに立っていたのは侍従長官のゼネダ様だった。彼は宮廷で働く従業者らの管理から、サイラス様の暮らし向き全般に関わる事務方仕事を一手に担うまとめ役だ。その業務は多岐に渡り、常に多忙を極めている。
 だからゼネダ様は、侍従長官室に詰めていることがほとんど。この場所によらず、私が宮廷内で彼と顔を合わせたことはこれまで一度もなかった。
「階段に直接腰を下ろすなんて、はしたないところを見られてしまいました」
「なに、そんなことはない」
 私が慌てて立ち上がろうとしたら、それよりも一瞬早くゼネダ様が私の隣に歩み寄って来て、少しの隙間を空けてストンと腰を下ろした。
「私もたまに、息抜きにここに足を運ぶのですよ。そしてその時は、決まってここが指定席です」
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