男装即バレ従者、赤ちゃんを産んだらカタブツ皇帝の溺愛が止まりません!
「そうでしたか。そうなると賑わいの反面で、後宮統括官として後宮を纏めるお立場のサリー様は、さぞご苦労も多かったものとお察しします」
「ふふふっ。それがね、当時の私はいち女官に過ぎなかったの。私がお仕えしていた正妃様はそれはそれはお優しくて気のよい方で、曲芸師や音楽団、通いの商人を招く時は必ず私を伴ってくださった。暮らし向きも煌びやかで、本当に目に眩いばかりだった。だから当時について、私には楽しい思い出しかないのよ」
 サリー様はここで一旦言葉を区切り、宙を仰ぎ見た。
 ……なんと、サリー様はもとは正妃様の女官をしていたという。蛇足だが皇帝の正妃様の女官、それも芸時の鑑賞や見回り品の購入に毎回伴う気に入りともなれば、それは下位の妃よりも厚遇される立場だ。間違っても自らお茶を淹れたり、ましてや掃除などはしていなかったはず。
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