男装即バレ従者、赤ちゃんを産んだらカタブツ皇帝の溺愛が止まりません!
「おいドクトール! お前は優秀だがいつもひと言多い」
「おやおや、これは失礼を」
 サイラス様が苦い顔でドクトール様を咎め、ドクトール様はハッとした様子で口を噤む。そんなふたりのやり取りを見て、頭を金槌で打たれたような衝撃が走り抜けた。同時に、これまで疑念を覚えながらも、騙し騙しに蓋をして閉じ込めてきたひとつの可能性が蓋を押し開けて溢れだす。
 私は無償で与えられるには長期で、かつ、高度な学習機会をずっと疑問に感じていた。当時はウィルソン卿の善意と自分を納得させていたが、素人目にも彼の指導は場当たり的なものではなく、長期的な学習計画に基づいたものに思えた。
 なにより貸与された本や学習資料には、最新のものも多かった。それらの教材と、他ならぬウィルソン卿の指導により、私とセリウスは四年弱という期間で、貴族子弟が備えるべき教養と知識を学ばせてもらったのだ。
「セリ――」
「サイラス様がウィルソン卿を遣わしてくださったのですね」
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