男装即バレ従者、赤ちゃんを産んだらカタブツ皇帝の溺愛が止まりません!
「……どうもこうも、あなたはこうして私を檻の中に飼っているではありませんか。憐れんで庇護し、慈悲を与え、気の向くまま撫でて戯れる。夜は寝台で乱れ、昼は男の恰好に身を包み従者仕事に右往左往する。そんな私の姿は、少しでもあなたの目を楽しませ、心の慰めとなれていますか」
 律しようと思うのに、とぐろを巻くもやもやとした思いは胸に収まりきらず、感情のまま言葉になって結ばれる。自分自身の感情に、まるでコントロールが利かなかった。そのことが私を焦らせ、一層平常な心を遠くする。
「……っ、グッ!!」
 むかつきが込み上げてきて、堪えられずに咄嗟に背中を丸める。
「セリーヌ! 大丈夫か!?」
 サイラス様は反射的に腕を伸ばし、私の口の下に手を宛がった。
 碌に食事を取っていなかったことが功を奏し、逆流してくるのは胃液ばかり。しかし、寸分も躊躇なく吐しゃ物を手で受け止められたことに、驚きと衝撃は大きかった。
「無理に堪えようとするな。すべて吐いてしまえ」
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