男装即バレ従者、赤ちゃんを産んだらカタブツ皇帝の溺愛が止まりません!
「よかった、少し顔色がよくなっているな。……ドクトール」
 サイラス様は私を見下ろして、心底安堵したように呟くと、脇に控えていたドクトール様を呼ぶ。
「セリーヌ様、吐き気を催されるのは今回が初めてではないようにお見受けします。念のためと思い、儂に診察させていただけませんかな?」
「い、いえ。この程度のことでドクトール様に診ていただくなど、とんでもない」
 持ち掛けられた診察の一語に戸惑いは隠せない。
「あなただけが特別というわけではないのですよ。本来、宮廷従事者は勤務開始後、数日のうちに宮廷医務室で健康診断を受けるのです。しかし、あなたはご事情から宮廷医務室での集団検診が難しく、こうして儂が参った次第です。ついでに最近の体調不良についても診察をさせてください。なに、これでなにもなければいいのです。それはそれで、安心材料にもなりましょう」
 ……安心材料。こんなふうに持ち掛けられてしまえば、断ることは困難だった。
「では、お願いします」
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