男装即バレ従者、赤ちゃんを産んだらカタブツ皇帝の溺愛が止まりません!
「そう心配なさらずとも、自分の体調のことは私が誰よりもわかっています。私もこの子も問題なく……あ、元気に動いています! ほら、サイラス様も触ってみてください」
「どれ?」
 サイラス様が宝物にでも触れるような丁寧さで私の腹部にそっと手をあてる。
「おお! ずいぶんとよく動いているな!」
 サイラス様が驚いたように目を見開いて、白い歯をこぼす。目に眩いほどの彼の笑顔を見る度に、胸がはち切れそうなくらい幸せで一杯になる。
「ええ。とっても元気のいい子のようです」
「ふむ。これだけ腹の子が元気なら、やはり床に伏してばかりというのもうまくないかもしれんな」
「その通りです。ですから、この嘆願書のチェックは私にやらせてください」
 妊娠も後期に入り、私の皇妃としての政務はかなり減らされてしまっていた。嘆願書のチェックは僅かに残る政務の大事なひとつだった。
「……わかった。ただし、くれぐれも無理のないようにな」
「はい。約束します」
 奪われかけていた数少ない政務を取り戻し、ホッと安堵の息をつく。
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