男装即バレ従者、赤ちゃんを産んだらカタブツ皇帝の溺愛が止まりません!
 サイラス様の愛に魂が震える。私の内から湧きあがるサイラス様への愛も幾重にも折り重なって積もり、熱く心を満たす。
「あなたと出会えたこと、そして、間もなくに迫る我が子との出会い。これらを与えてくれた神に、心からの感謝を伝えたいです」
 ……日々の苦しさを助けてくれぬ神様を恨みに思ったこともある。いつしか期待することを諦めたら、その存在すら思い出すことはなくなった。
 今も形の見えない神様を本気で崇拝しているのかと問われれば悩ましい。だけど、感謝の心や願う心、思う心が私の心の中に優しい神様の形を作り、一層の豊かさをもたらしてくれる。
「奇遇だな、セリーヌ。俺も日頃から同じようなことを思っていた」
 サイラス様は腹部にあてた手をそっと引き、代わりに大きなお腹ごとすっぽりと私を抱き締める。そうして私の耳もとに唇を寄せ、柔らかな声音で囁く。
「以前は信仰心などとんと持っていなかったのだが、お前のことだけは違った。お前との出会いを叶えてくれた天の采配に、感謝以外の感情は見つからん。もちろん腹の子についても同じだ」
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