男装即バレ従者、赤ちゃんを産んだらカタブツ皇帝の溺愛が止まりません!
 しかし、実際に狂っていたのは母ではなく老いた父皇帝。俺は、どうして母を信じてやることができなかったのか……。
 己への怒りや不甲斐なさ、あらゆる感情が嵐のように胸の中を駆け巡る。
「間違いではないわ。陛下が凶行に走るに至った理由の一端は私にあるのだから」
「馬鹿を言うな……! あなたが悪いわけがあるか! すべては妄執に囚われた父のなしたこと。兄皇子らの死に、あなたはなんら関わっていないではないか!! それなのに世捨て人のように離宮で贖罪の日々を送っているなど、そんな馬鹿な話があるか……!」
 母が皇子らを殺した。俺の認識ばかりでなく、これは周知の事実であり暗黙の了解になっていた。母自身、そんな汚名を自らそそごうとはしなかった。
 叫ぶように口にしながら、母の人生を思い息が苦しくなった。
「何故、あなたは不当な断罪を甘んじて受け入れる!? 若い身空で何年もひとり離宮で侘しく暮らす!? 亡くなった兄皇子たちの喪に服すにしても、あまりにも寂しすぎる……っ」
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