虐げられ幼女は、神子だろうと聖騎士パパ&もふもふお兄ちゃんたちと平凡に生きたい
 ルブの言葉がまた胸に染みる。彼の言う通りかもしれない。

 マイネス家にいるときもアルトリシアはときどきひどい扱いに涙を流したが、こんなふうに感情をすべてさらけ出すような泣き方はしなかった。痛みやつらさを押し殺し、泣き声だってうるさいと叱られないように呑み込んだ。

 ルブもサフィもアルトリシアの気持ちを受け止める。ゼノハルトもそうだ。だからきっと、アルトリシアは彼らの前で涙を我慢できない。

(子どもみたいで嫌だな)

 理解はしても納得はできないアルトリシアだが、自分がまだ八歳の子どもだという事実を忘れている。

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