私の知らない恋の話。
「はぁ?そういうのいちいち気にすんの?」
「……じゃあ、単刀直入に言います。
ブロックしてるんだから、そういうことです」
「俺のこともう好きじゃねぇの?」
「……なんで好きだと、思ってるんですか」


……放って、置けない、って。そう思った。


このままじゃ、なぎが壊れちゃう気がした。







「なぎ」


いつも通り、なぎを呼ぶ。
俺の声に気づいたなぎは、救いの光、みたいに、差し伸べられた手、みたいな感覚で、もえ、と掠れた声で呼んだ。


「行こ。リレー始まる。前川のこと見るんだろ」


別にこの際理由が前川だっていい。
なぎのあのビビった表情が取り除けるなら前川も全然利用する。
あわよくばその元彼が、前川が彼氏だって勘違いしても、諦めてくれるんならなんだっていい。


なんだっていいから、とりあえず。


「あ、うん、今行く」


なぎには、俺の手の届く範囲で、いてほしい。
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