LOVEDANGER~元ヤン御曹司と悪女OLの身籠り溺愛婚~
「どうした?
まだボーとしてるけど、大丈夫か?」
本日、三度目のその大丈夫か?を聞きながら、
きっと、言うなら今しかない、と私は思った。
「篤さんですよね?」
「ああ」
今まで話した事もない私がこの人の名前を知っていても、微塵も驚いた様子を見せない。
それは、この人自身も、色々と自分が噂されている事を知っているからだろう。
「北浦、篤さんですよね?」
私が口にした、そのキタウラの姓に、
篤さんの眉間が寄るのが分かった。
「お前、何者だ?」
その攻撃的な声。
私を見る、その警戒した目。
「瑛太(えいた)分かります?
山田瑛太。
今は真壁瑛太ですけど」
私は、二歳上の兄の名前を口に出した。
そして、昔の私の姓だった、ヤマダも。
その山田の姓は母親の旧姓で、
今の真壁は、母親が再婚した新しい父親の姓。
ちなみに、その山田姓の前、元々私は中村だった。
「やまだ…えいた…」
そう呟いた後、篤さんの顔がパッと明るくなった。
「私、瑛太の妹なんです」
私の兄、瑛太と篤さんは歳が二歳違うけど、先輩後輩として、
中学時代仲良くしていた。
「あー。言われてみると、お前にも昔何回か瑛太の家で会ったな」
何人かで、この人が私の家に遊びに来ていた事が度々有った。
その時、篤さんと私が顔を合わせる事も有った。
「家以外で会った事もあるんです。
覚えていません?」
そう言っても、篤さんは首を捻って考えてくれているが、思い出せないみたい。
「昔、私がクラスの男子にイジメられてる所を、篤さんに助けて貰って」
あれは、私が小学5年生の時。
「あー、んな事が有ったような気がして来た」
段々と明るくなるその表情から、少しずつその時の事を思い出してくれているのが分かる。