LOVEDANGER~元ヤン御曹司と悪女OLの身籠り溺愛婚~
そんな私達の雰囲気を壊すように、
ベッドボードのラックに置いている、篤さんのスマホが鳴り出した。



それは、LINE電話みたいで。


その電話が誰からか、見えてしまった。


あの、海宝久志さん。


「邪魔しやがって」


篤さんは不機嫌そうにスマホを手に取り、
その電話に出た。


『篤君。
やってくれたよね。
さっき仕事終わって家帰ったら、未央さんにそのまま家から追い出されたんですけど』

部屋が静かだからか、篤さんに密着しているからか、
電話の向こうのその海宝久志さんの声がよく聞こえて来た。


「最初に梢にある事ねぇ事言ったのは、お前だろうが?
大方、俺が未央と話してんの見て、嫉妬でもしたんだろ?」


『その通りなんだけど。
だって、篤君いい男だし。
俺、広子の事でちょっと篤君の事がトラウマなのかも。
広子は俺よりも篤君を選んだから』

「広子と違って、未央はお前にベタ惚れだろうが。
いちいち俺なんかに絡むな」


『そうなんだけど。
ちょっと意地悪な気持ちも有ったんだけど、俺の親切心だし』


「は?意味わかんねぇ」


うん。私も意味が分からないと思った。


『篤君の奥さんの梢ちゃん。
凄い篤君に遠慮しているように見えたから。
ほら?篤君と未央さんが仲良く話しているのを見て、嫉妬してる感情を押し殺してて』


それを聞いて、篤さんはそうなのか?って感じで私を見ている。


『だから、荒療治っての?
広子の事出して、とことん嫉妬させて、
一回、篤君とぶつかればいいと思って。
現に、そうなって二人の絆が深まったんじゃない?』


「ああ。まーな」


篤さんは根が素直だし、悪く言えば単純だから。


この海宝久志さんに、丸め込まれている事に気付いてない。


実際、この人の言うように、私と篤さんとの絆がそれで深まったのだけど、
私はこの人を疑ってしまう。

< 130 / 243 >

この作品をシェア

pagetop