LOVEDANGER~元ヤン御曹司と悪女OLの身籠り溺愛婚~
「危ねぇ!」
その言葉と同時に、誰かが両手で私の体を掴み、後ろへとぐっと引き寄せられた。
私はまだ少し目眩が残っていたが、
しっかりと自分の足では立てていて、
だからか、その私を引き寄せていたその手は離れた。
その声の主は、私が地面に置いていた鞄を手に持ち。
「ほらよ」
そう言って、それを私に渡す。
その声で気付いていたけど、
今、私の目の前に居るのは川邊篤その人で。
私はまだ、この現実に頭が追い付かない。
「お前、落ちそうだったぞ。
それとも、こっから飛び降りようとしてたのか?」
あの欄干から身を乗り出していた私は、
貧血からか目眩を起こして、落ちそうになっていたのか。
そんな私を、この人が助けてくれたって事?
「お前、ボーとしてっけど、大丈夫か?
顔色悪いし」
そうやって眉間を寄せてるその表情は、
記憶の中にある、昔の彼を思い出させる。
「カピバラが居たんです…。
家族で泳いでいて…」
そのカピバラも、目の前のこの人も、
もう夢なんじゃないかと思う程、
今の私の頭の中は何か心地よい感じでフワフワとしていて。
「お前、大丈夫か?」
その大丈夫か?は、先程とは違う感じで私を心配している。