溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~
墓参りを終えた後、家族に悠里を紹介するため、俺たちは都内のホテル内にある中華料理レストランを訪れた。
そこには俺と悠里の他、桐ケ谷エステートのトップである父、専業主婦の母、桐ケ谷エステートのグループ企業に勤務している四つ年下の弟、玄心が集まった。
父の怪我の具合が気がかりだったが、車椅子であるほかはいつも通りに元気そうだ。豪勢な料理が並んだ円卓を囲んで自己紹介をし合ったあと、和やかに食事会が始まる。
「悠里さんは二十三歳か。お若くて何よりだ」
「そうね、やっぱり体力のあるうちに出産や子育てはした方がいいもの」
「は、はい」
両親の前ですっかり萎縮した様子の悠里が、神妙に頷く。両親は悠里の人柄などはともかく、年齢が若いことがうれしそうである。
失礼な両親で申し訳ないと悠里に謝ろうとすると、その前に弟の玄心が口を開く。
「ごめんね悠里ちゃん。この人たちが子ども子どもうるさいの、俺のせいなんだ」
「えっ?」
俺によく似た顔立ちだが性格は真逆の玄心は、愛想がなく人付き合いの苦手な俺とは違い、いつも柔和な笑みで人を魅了する人たらしである。
とはいえ、恋愛面では五年前に結婚した妻ひと筋の、一途な男だ。