溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~
翌日の土曜日。ゆっくり眠ってからカフェでブランチをとった後、車で悠里とともに彼女の両親の墓がある寺院へ行った。
悠里はお盆や彼岸の時期には欠かさず訪れているそうで、『春に来た時はひとりだったのに、いきなり旦那さんが隣にいて、ふたりともびっくりしてますね』と笑っていた。
ご両親が事故で亡くなったのは、彼女が高校二年生の時だったそう。祖父母や頼れる親戚なども近くにおらず、それからずっとひとりで生きてきたのだと、行きの車内で悠里は語っていた。
今の彼女にそんな生い立ちを感じさせるような暗さはまったくないが、当時はつらかったに違いない。
子作りというワードに関心を示し、実際その行為にも積極的な理由は、もしかしたら彼女自身、血を分けた家族が欲しいからなのではないだろうか。
そういうことなら、ますます張り切って妊活に励まねばな。
目を閉じ、穏やかな顔でご両親の墓に両手を合わせる悠里の横顔を見ながら、俺はそんな決意をひとり固めた。