溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~
『子どもができると自由な時間が奪われるし、夫婦が男女でなくなる。俺たちはいつまでも恋人のようでいたいんだ』
玄心はそんな持論を展開し、妻の方も同じ意見だそう。その意見にも一理あるし、なにより当人同士が納得していれば、外野がとやかくいうものじゃないだろう。
兄の俺はそう思っていたのだが、両親にとっては残念な選択だったようだ。
「そりゃそうだろう。維心はカタブツでいつ結婚できるかもわからなかったから、先に孫の顔を見せてくれるのは玄心の方だとばかり思っていたんだ」
失礼な……と思わなくもないが、父の言い分も間違ってはいない。
俺にも女性との交際経験は何度かあるものの、どうやら基本的な恋愛スキルが欠落しているらしい。
自分では誠意をもって相手に接しているつもりなのだが、なにかと誤解されがちで、最終的にはいつも相手から別れを切り出される。
そのせいで、ここ十年ほどは恋愛自体ご無沙汰だった。