溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~
「それに、桐ケ谷家の跡継ぎも必要でしょう? 今回はお父さんの怪我も大したことがなかったけれど、私たちもこの先老いていくし、どうなるかわからない。早く跡継ぎの顔を見て安心したいって、どうしても思ってしまうのよ。だから本当に悠里さんがうちに来てくれてうれしいの。ふたりとも、どうか頑張ってちょうだいね」
母が俺と悠里を交互に見てにっこりと微笑む。なにを頑張るのかを察した悠里は、真っ赤に頬を染め、助けを求めるように隣の席の俺を見た。
か弱いその仕草に胸を鷲掴みにされた俺は、悠里を見つめて一度大きく頷く。
任せろ。ここは俺がビシッと言ってやる。
「言われなくても、毎晩努力している。もちろん、今夜も努力する」
両親に向けてきっぱり宣言すると、なぜか俺以外の全員が呆気にとられた顔をした。
誰もが食事をする手を止め、信じられないといった顔で俺を凝視している。
なんだ? この異様な空気は。