溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~
「まさか、硬派な兄貴がそんなこと言うなんてな。ふたりが愛し合ってるのがよくわかって安心したけど……悠里ちゃん困ってるよ」
玄心が苦笑して、ちらりと悠里の方を見る。俺も自然と隣に座る彼女に視線を落とすと、彼女は先ほどよりも真っ赤に頬を上気させ、背中を丸めて小さくなっていた。
「悠里?」
「い、維心さん……。それ、ご家族の前で発表すべきことではないです」
泣きそうな顔をした悠里にそう言われ、俺はようやく自分の失態に気がつく。
そうか、そうだよな……。いくら家族でも、馬鹿正直に夫婦のプライベートを暴露するものではない。俺の考えが浅かった。
「ま、まぁふたりの仲がいいのは素晴らしいことだ」
「そうね。あっという間に孫の顔が見れそうね」
両親もなんとなく気まずい顔をしていて、俺はますます反省を深めるとともに、ため息をついた。
ああ、俺はこういうところがダメなのだ。空気が読めないというか、言葉の選び方が下手というか……。