溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~
彼の短い相槌を聞いて、私はハッとする。
部長はこんな話興味ないに決まってるのに、つい長々と語ってしまった……。
孤独で寂しい女だなって思われたかな。まぁそれが事実なんだけど、部長にそう思われたら結構凹む……。
「若いのに堅実なんだな。見直したよ」
俯きがちだった私の耳に、優しい言葉が飛び込んできた。顔を上げると、ハンドルを握る部長が一瞬だけこちらを一瞥して微笑む。
「いい奥さんになるな」
レアな笑顔とともにまさかのひと言をかけられ、頬がかぁっと熱を持った。
こんなのお世辞だよお世辞。本心では『ケチな女』って思っているはず。
「い、いやいや、言ったじゃないですか。相手がいませんので」
動揺を悟られぬよう、冗談めかして笑う。
「ああ、それに関しては本当に幸運だ」
「えっ?」
「いや、独り言」
独り言? にしても、気になる発言だったのですが。
とはいえすました顔で前方を睨む彼にそれ以上聞き返すことはできず、私は黙り込んだ。