溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~
部長の言っていた通り、約十五分のドライブで車はTOKYOシティハーバーの敷地に入った。ちょうど日の入りのタイミングに重なり、空の色はオレンジから群青に変わりかけている。
敷地内を歩く住人たちは一様に表情が明るく、彼らの充実した生活が透けて見えるよう。
「写真で見るよりずっと綺麗な街……」
「そうだろう。ちなみに、物件はあのビルの最上階だ」
部長が前方に見えてきた高層ビルを目線で示したので、その建物に目を凝らす。
敷地内には二棟同じくらいの高さのマンションが建っているが、角張ったビルらしいビルの方ではなく、バルコニーの曲線的なデザインが目を引く方の建物だ。
この最上階の物件って……いったい何億することやら。
感嘆の息をつきつつ車に揺られているうちに、マンションの車寄せに到着した。まごまごしながらシートベルトを外していると、先に車を降りた部長が助手席のドアを開ける。
「あ、ありがとうございます……あの、車は?」
「コンシェルジュが駐車場に運んでくれる。さ、中へ」