溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~
ホテルのようなサービスにますます圧倒されつつ、彼と一緒にエントランスのドアをくぐる。床や壁が薄いグレーで統一された落ち着いた空間に、広いロビーとフロントがある。
部長がフロントで手続きしている間、私はロビーの照明や椅子などのインテリアを眺め、そのセンスの良さにいちいち感動していた。
「早坂。行くぞ」
「あ、はいっ」
慌てて彼に駆け寄り、エレベーターホールに移動する。エレベーターは五基もあり、そのうち二基は、一階から三階までの商業施設用。
残りがマンションの住人用で、高層階専用は一番端の一基だそうだ。
エレベーターに乗り込むと、狭い空間に部長とふたりきりでいる気まずさで手のひらに汗が滲んできた。
こうして並ぶと、二十センチ以上はあるだろう彼との身長差を意識してドキドキしてしまうし、とにかくなにか話さなければと、私は口を開く
「なんか、圧倒されてしまいます。自分の住んでいる世界とは格が違いすぎて」
「こういう世界は苦手か?」
「そうですね……慣れないので、居心地はよくないかもしれません」
「そうか。早く慣れてもらわないとな」