溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~
「どうしましょう維心さん、ひとつに決められる気がしませんが」
「気持ちはわかるが、パンだけでお腹いっぱいになったら困るだろう。ふたりでひとつずつ買って、半分ずつ食べるか?」
「はい、ぜひ!」
手を繋いだ後は、パンを仲良く半分こして食べる。こんなにデートらしいデートができるなんて、思ってもみなかったな。
自然と口元が緩んでしまうのを隠しきれず、私は終始ニコニコしながらパンを選んだ。
「あっ……失敗」
その後、購入したパンを手に店先に出て、自分で選んだカレーパンを半分こしようとした私は、思わず情けない声を出した。
もちっと弾力のある生地がうまく半分に割れてくれず、ふたつの大きさが不平等になってしまったのだ。
「俺はこっちでいいよ」
フッと笑った彼がそう言ったかと思うと、私が右手に持つ小さい方のカレーパンに顔を近づけて、そのままパクっとかぶりついた。
「うん、うまいなこのカレーソース。ほどよく辛くて」