溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~

 終わってしまうと呆気ない。ふたりで次の線香花火に火を点け、今度はとくに競争をせず、オレンジ色に輝く小さな光の玉を見つめる。

「あの……維心さん」
「うん?」

 本当は眠る前という計画だったけれど、今がその時のような気がしてきた。

 静かで、ゆっくり話ができるシチュエーション。花火をしながらなんて、ロマンチックだし。

 そんなことを思っていると次第に自分の鼓動が大きくなり、線香花火を持つ手がぶれる。

「……手が震えてる。そんなに花火に本気にならなくても」

 維心さんが軽く笑って、花火を持ってない方の手で私の手を包み込む。

 その瞬間、ドキッと大きく鼓動が脈打ち、手元が狂って結局ふたりとも火の玉が落ちてしまった。

 ダメだ。花火どころじゃない……。私はすう、と息を吸って、彼の瞳を覗く。

「維心さん、大事なお話が――」

 私がそう言いかけた直後、彼の着ているシャツの胸ポケットでスマホのバイブが短く鳴った。

 維心さんは無視していたけれど、その音で張りつめていた気持ちが緩んだ私は、急に恥ずかしくなって、愛想笑いを浮かべる

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