溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~
【夜中に電話してごめんね。でもよかった、久々に維心くんに会えそうで】
画面上部に見えたメッセージはそれだった。
維心さんが彼女を呼び捨てにしていたのはこの耳で聞いたけれど、彼女の方はそんな呼び方をしているんだ。維心くん……なんだかここにいる彼とは別の人みたい。
ぎゅっと痛む胸に耐えながら、今度は最新のトークに視線を走らせ……
私はすぐに自分の行動を後悔する。
【博多の夜、楽しもうね♡】
ついさっき届いたと思われるその意味深な一文を目にした瞬間、目の前が真っ暗になった。
今日一日の間に積み上げてきた私のささやかな幸せが、ガラガラと音を立てて崩れていく。
私は平静を装って立ち上がり、声が震えないよう注意しながら、必死でこの場から逃れる言い訳を探す。
「維心さん、ごめんなさい。生理痛がぶりかえしてきたので、先にシャワーを浴びて休んでもいいですか?」
「大丈夫か? ずっと外の風にあたっていたのがよくなかったか……病み上がりなのに、悪いことをした」
こんなふうに優しくしてくれる理由も、わかっちゃったよ。
美久さんと久しぶりに博多で会って、楽しい夜を過ごせるから……それまで妻の機嫌を取るくらい、朝飯前なんだ。
なんだ、そういうことか。よかった、告白なんて馬鹿みたいな真似しないで。