溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~
「自業自得……か」
涙を流しながら自嘲しても、胸の痛みは引かない。心臓に刺さった見えないナイフが、どうしたら抜けるのかわからない。
きっと、たくさんの血が滴り落ちているのに。私の中の、大切ななにかを奪いながら。
暗い部屋で呆然と想像の世界に身を置いていると、やがて維心さんがやってきて、ドアをノックした。思わずどきりとして、息を殺す。
「悠里、具合はどうだ?」
私は返事をしなかった。たとえドア越しにでも、彼と話せる状態じゃない。
「入るぞ?」
維心さんはそう言ってドアノブを回したけれど、鍵がかかっているので開かない。やがて、私が寝ていると思ったのか、維心さんが部屋の前から離れていく足音がした。
よかった。今夜はこれで彼と顔を会わせずに済む。しかし、単にこの場をしのいだだけだ。
明日からはどうしよう……。なにもない真っ暗な宙を見つめ、私は途方に暮れた。
ひと晩眠れない夜を過ごして結局私が選んだのは、今まで通りの態度で彼と接することだった。
朝方、彼が起き出す前にシャワーを浴び、腫れた目元をごまかすメイクを施し、トーストとソーセージ、目玉焼きという簡単な朝食を作って、彼に振舞う。