溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~

「そうだよ。っていうか、今まさにその美久って女と会ってるかもしれないんでしょ? 電話の一本でも入れて焦らせればいいじゃん」
「でも、電話越しにその人の声とか聞こえたら、私もう立ち直れないよ」

 思わず弱気になる私に、佳代は真剣な目で語り掛ける。

「大丈夫。今なら私が隣にいるじゃん。電話して、もしも本当に悠里が傷つくような状況だったとしたら、私が悠里をこの家にかくまって、もう旦那さんのもとに帰らせない。そんな勝手なヤツと子作りなんかさせてたまるもんですか!」
「佳代……」

 私は昔から、悩みをあまり人に相談しない性格だ。佳代もそんな私を尊重して、無理になにかを聞き出そうとはしない。

 けれど、本当に助けて欲しいときはいつだってこうして全面的に味方になってくれる。

 高校生の時、両親が亡くなったばかりで私が不安定だった時もそうだった。

 私が気丈に振舞っていれば、無理しているのが分かっていてもそれに合わせ、その糸がふっと途切れて涙があふれた時には、黙って寄り添い、私が泣き止むまでとことん付き合ってくれる。

 そんな彼女の存在が、本当にありがたくて救いだった。

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