溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~
『そんなかわいいことを言って。今きみが目の前にいたら、タダじゃ済まなかったぞ』
「タダじゃ済まないって、どういう意味ですか?」
酔っていると、なんでも聞けてしまう。お酒って危険。維心さんと一緒にいる時は、飲んじゃダメだ。
ふわふわした思考で反省していると、維心さんの低い囁き声が聞こえた。
『電話じゃ言えないようなことだよ。明日の夜、実演してやる』
ドキン、と胸が鳴って、耳から全身が蕩けそうになった。
維心さん、早く帰ってこないかな。明日が待ち遠しくてたまらない。
『じゃ、そろそろ行くよ。おやすみ、悠里』
「はい、おやすみなさい……」
うっとりした気分で電話を切り、スマホを胸に抱く。
ああ、電話してみてよかった。維心さんって声までカッコいいから……。
「悠里、浸ってるとこ悪いけど結局どうだったの? 白黒ついた?」
佳代がずいっと身を寄せてきて、私の顔を覗いた。
私は目をぱちぱちさせて、今さらのように気づく。
「あっ……結局、誰と一緒にいるとかなにも聞いてない」
「もう、なんのために電話したのよ」
「で、でもっ、たぶんあの感じは……限りなく白寄りのグレー、だと思う!」