溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~

「ちょ、ちょっと待ってください……よく意味が」

 混乱している頭に手を添え、かろうじてそれだけ呟く。

「なにが理解できない?」

 部長に問いかけられ、一つひとつ状況を整理する。

「ええと、まずですね。この部屋は、特別なお客様をご案内する予定だったのでは?」
「ああ、それはきみのことだ。妻として正式にこの部屋に迎え入れる前に、本人に下見してもらった方がいい思って」

 聞けば聞くほど頭がこんがらがる。お客様というのは私のことで、ここで一緒に暮らすための下見だったってこと?

「ですが……この部屋、部長のものではありませんよね?」
「なにを言っている。そもそもこのマンションのオーナーは俺だ。もっとも、今は管理のために設立した会社の法人名義ではあるが」
「ええっ!?」

 この一室だけでもとんでもない価格に違いないのに、このビル一棟全部が彼のものってこと? しかも、管理のために会社を設立?

 スケールが大きすぎて言葉が出ない。私は御曹司という人種を侮っていたようだ。
 
「で、でも……そもそもなぜ、私を妻にしようだなんて」

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