溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~

 自分のアパートに帰ってすぐ、私はバッグからスマホを取り出した。高校時代から仲のいい友人・笹原佳代(ささはらかよ)に相談するためだ。

 狭いワンルームの床に体育座りをし、スマホを耳にあてる。

《もしもーし、どしたの悠里》
「佳代、ちょっと相談があるんだけど、今平気?」
《平気平気。ゲームしてただけだから》

 呑気な声の後、サクサクとスナック菓子かなにかを咀嚼する音がした。

 佳代も都内の企業に勤めるOLだが、仕事はお金を稼ぐ手段と割り切っていて、いつも定時きっかりに退社して、趣味の時間を楽しんでいる。

「また乙女ゲーム?」
《そう。犬をイケメン男子に擬人化した新作がやばいの。今、トイプーを攻略中なんだけど、まぁいじらしい年下男子で》

 佳代の悶えるような声を聞き、クスクス笑う。私自身は二次元のイケメンにそれほど興味はないが、佳代の話を聞くのは楽しい。

《それより、なんか相談あるんでしょ? なに系?》
「うーん……男心について?」
《えっ。なにそれ、めちゃくちゃ興味あるんだけど!》

< 20 / 240 >

この作品をシェア

pagetop