溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~

 興奮気味の佳代に気圧されつつ、私はさっきの出来事を説明した。

 夢のようなタワーマンションの最上階で、十歳年上の憧れの上司に結婚を申し込まれたけれど、彼の目的がよくわからないので、断ってしまったのだと。

《なるほど。確かに謎だねえ。御曹司なら政略的な意味で結婚相手を選ぶこともあるだろうけど、悠里はごく普通の家の子だし》
「でしょ? かといって恋愛的な理由なわけもないし、部長に私と結婚するメリットがあるとは思えなくて」
《あ、でもちょっと待って。確か、突然男が求婚してくる設定のゲームをやったことがある気がする。参考になるかも!》

 佳代は思い出したように言うと、電話の向こうでガサガサ音を立て始めた。そのゲームを探しているらしい。

 乙女ゲームなら、フィクションとはいえ心理描写を大事にしているはず。男性側の心情も描かれているだろうか?

《あった!『孕まされ婚~五人の御曹司に夜ごと注がれる愛欲~』。たしか、なんのとりえもないOLヒロインが御曹司に求婚されるんだけど、目的は子作りで、彼女の若さと健康な体だけが魅力だったのよね。で、子作りしまくる中で本当の愛が生まれる、って感じの十八禁ゲームだったかな。御曹司は五人の中から選べて、性格も甘々からツンデレまで――》

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