溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~
子作り。若さと健康な体。
佳代のゲーム説明はまだ続いていたが、そのキーワードだけがガンガンと頭の中で反響し、ショックで彼女の声は遠ざかった。
ゲームの設定が、今の自分の状況にまさに合致しているように思えてならない。
部長は三十三歳。御曹司という立場上、結婚や跡継ぎを急かされていてもおかしくない年齢だ。しかしあんな風に求婚してくるくらいだから、交際中の女性はいないのだろう。
仕事が忙しく一から恋愛するのが煩わしい部長は、身近な女性の中で、一番子どもを生ませるのに適当そうな、営業部で一番年下かつ健康そうな私を選んだ……とか。
どうしよう、合理主義の部長ならありえる。
《ちょっと悠里、聞いてる?》
拗ねたような佳代の声で我に返った私は、呆然としながらぽつりと呟く。
「リアル孕まされ婚、かも」
《えっ?》
「また連絡するね……ありがとう、佳代」
まだそうと決まったわけではない。でも、それ以外に彼が私に求婚する理由は思い当たらない。
ということは、あのマンションの寝室で、部長は私を――。