溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~
『早く俺の子を孕め、悠里……』
そんなセリフとともにスーツを脱ぎ捨てて迫ってくる部長の姿が勝手に脳裏に浮かんできて、私は「きゃぁ」と叫んで、敷きっぱなしの布団に倒れ込んだ。
私ってば、なんてハレンチな妄想を……。ひとりで悶えながら布団の上をゴロゴロ転がり、ふと我に返る。
私にプロポーズを断られた部長は、どうするつもりなんだろう。
他の若い女性に声を掛けて、子作りのための結婚をするんだろうか。そんな未来を想像すると、胸がギュッと苦しくなった。
自分で断ったくせに、なんて勝手なんだろう。やっぱり私、部長が好きなんだ。
彼が他の女性と結婚するくらいなら、たとえ子作り婚でもいいから、私がそばにいられたら――。
翌日、なんとか部長と話ができないかと思いつつも、仕事中に声を掛けるわけにもいかず、悶々とした気持ちを持て余しながら自分の業務をこなす。
しかし時間が経つうちに自然と頭の中が仕事モードに切り替わり、部長のことを思い浮かべる回数は次第に減っていった。