溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~

「単刀直入に言って、顔が好みです。〝柴犬のトオル〟そっくりな、まっすぐな鼻筋につぶらな瞳」

 やっぱり……。佳代ってば、二次元男子と重ねてるんだ。でも、それを隠さずストレートに伝えているから問題ない? いや、言われた方は戸惑うだろう。いきなり柴犬だもん。

 そう思って元木くんの顔を覗くと、意外にもまんざらではなさそう。頬から耳に掛けてほんのり赤くして、困ったように頭を掻いてから、言う。

「と、友達からでよければ……」
「ありがとうございます!」

 突然のカップル誕生に、私と課長、梶原さんは目配せで驚きを共有し、それからぱちぱちと拍手をする。

 長年友人をやっているけれど、佳代があんなにも積極的に生身の男性にアプローチするのは初めて見る。

 動機は若干不純な気もするけれど、元木くんの人柄を知れば、そのうち柴犬のトオルのことなんてどうでもよくなるだろう。

 しばらく話をして、会社の三人と佳代は帰っていった。その三十分後くらいに維心さんが来て、ベッド脇に椅子を置いて座るなり、私の顔をじっと見つめた。

「今日は表情が明るいな」
「わかりますか? 今日、お見舞いに色んな人が来てくれたんです。友達の佳代と、会社からは課長、梶原さん、元木くん」

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