溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~

 その日は結局、CDの誤解を解くだけでほとんど面会時間が終わってしまった。

 帰り支度をする維心さんの姿を見るだけできゅっと胸が締めつけられ、心細くなる。

「早く、家に帰りたいな」
「ああ。待っているよ。それじゃ、また明日来る。ゆっくりおやすみ」

 最後にもう一度だけ短いキスを交わし、それから私のお腹を布団の上からゆっくり撫で、維心さんは帰っていった。

 入院はまだまだ続くけれど、寂しいのは、切ないのは、維心さんも同じ……。

 そう自分に言い聞かせると少しだけ心が落ち着き、私はベッドの中で目を閉じた。


 子宮口が開きやすい体質の私は、結局出産まで入院することになった。

 なにもしないというのがここまでつらいとは思わなかったが、無事に臨月を迎えられた日の朝には、思わず赤ちゃんに「ありがとう。頑張ったね」と声を掛けた。

 しかし、安静を二カ月も続けたせいか体力も筋力も落ちていて、トイレまで歩くのさえ疲労を感じるようになってしまった。

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