溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~

 ベッドとソファの置かれた簡素なその部屋で、とりあえずベッドに横になる。やがて助産師がやってきて、私のお腹にモニターとつながった機械をふたつ付け、ベルトで固定した。

「もうだいぶ間隔が短いわね。すぐに分娩室に移れるよう、準備をしてきます。桐ケ谷さんは痛みの引いている時に、旦那様にご連絡を」

 モニターを見ながら淡々と指示されて、ごくりと息を呑んだ。

 分娩室……生まれるんだ、もうすぐ……。

 いよいよだという緊張に包まれながら、助産師が席を外してすぐ、私は維心さんに連絡を取った。

「もしもし、維心さん? お仕事中にごめんなさい、あの……痛っ」
《悠里? 痛いって、まさか……陣痛か?》
「はい、間隔もだいぶ短くなってます。元々子宮口も開きやすいので……すぐお産になりそうなんです」
《わかった。すぐに向かう》

 彼の声を聞いて安心したのもつかの間、すぐに悶えるほどの痛みがやってきて、私は顔を歪める。

 腰を思い切り殴られているみたい。気が遠くなりそう。

 浅い呼吸を繰り返し、ギュッと目を閉じてただ痛みに耐えていると、ようやく助産師が戻ってきた。

 歩ける状態ではないので車椅子ですぐ隣の分娩室へ移動し、台に上る。点滴の針を腕に刺され、助産師が内診を始める。

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