溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~
卑屈になって俯いていると、維心さんが一歩一歩歩み寄ってきて、私の前で立ち止まる。そして身を屈めたかと思うと、そっと耳打ちした。
「かわいすぎて危険だ。背中のファスナーを下ろしてしまいたくなる」
「なっ……!」
店員には聞こえない程度の声ではあったけれど、人目のある店の中でなんてことを言うのだろう。燃えるように顔が熱くなって、思わず維心さんを睨みつける。
しかし彼は私の視線を軽くかわして店員の方を向くと、「これ、全部買います」とさらりと宣言する。
会計のときにこっそり覗いたレシートには、軽自動車が一台くらいポンと買えそうな金額が記されていた。
「こんなにたくさん買ってもらってしまって……到底お返しにはなりませんが、今日こそ私が夕飯を作ります」
ショップバッグを後部座席に積んで、車に揺られる帰り道。誕生日でもなんでもないのにたくさんのプレゼントをもらってしまったのが心苦しく、私は思わずそう申し出る。
「気にしなくていいと言っているのに。まぁいい。それなら、食材の買い物をして帰ろうか」
「はい」