溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~
途中でスーパーに寄り、料理初心者の私にでもできそうなカレーとサラダの材料を買った。
帰宅してすぐお米を研いで炊飯器にセットし、それからカレーの準備をする。危なっかしい手つきで野菜を切っていると、寝室で部屋着に着替えていた維心さんがドアから入ってきて、キッチンに近づいてくる。
「すみません、たぶん、まだ大分時間がかかると思います」
「構わないよ。俺に気にせず作業を進めてくれ」
「はい、わかりました……って、維心さん?」
お言葉に甘えて再び材料を切ろうとしたら、背中にぴとりと、大きなぬくもりがくっつく。
同時にウエストに腕を絡められ、後ろからギュッと抱きしめられてしまった。
「あ、あの……これで〝気にしない〟のは無理かと!」
「ダメか? 運転中や店では悠里に触れられなかったから、今なら、と思ったんだが」
甘えるように言った彼が、私の髪に鼻を擦り付けてすん、と鳴らす。顔は見られない体勢だからいいけど、絶対に私の顔は赤い。
でも、ダメと言ったら離れて行ってしまうのかな。
そう思うと胸に一抹の寂しさを覚え、彼を拒絶することはできなかった。